映画「カラオケ行こ!」カラオケシーンで綾野剛「『紅』には情念をこめて」

左から山下敦弘監督、坂井真紀、芳根京子、齋藤潤、綾野剛、北村一輝、橋本じゅん、やべきょうすけ、チャンス大城。

和山やま原作による映画「カラオケ行こ!」の初日舞台挨拶が、本日1月12日に東京・ユナイテッド・シネマ豊洲で開催された。映画上映後に行われた舞台挨拶には成田狂児役の綾野剛、岡聡実役の齋藤潤、森本もも役の芳根京子、小林/ハイエナの兄貴役の橋本じゅん、唐田役のやべきょうすけ、尾形/キティの兄貴役のチャンス大城、岡優子役の坂井真紀、組長役の北村一輝、山下敦弘監督が登壇。映画公開初日を迎えての感想や撮影時の裏話が明かされた。

登壇者たちは映画のキーワードでもある「紅」に合わせ、赤色のワンポイントをドレスコードに入場。舞台挨拶の開幕後、綾野が「楽しんでいただけましたか?」と問いかけると、客席からは大きな拍手が沸き起こる。黒地に赤いドットがちりばめられた衣装に身を包み登壇したやべは、ほかの登壇者と比べ赤色の割合が多いことに「少々パニクって赤が多くなりすぎました(笑)」と笑いながら述べた。一見すると赤色要素が見られなかった北村は「よく見て!」と言いながら着用しているジャケットの細かなステッチを見せる。そしてやべを指差しながら「こういう人もいるかと思って控えめにしました」と話し、会場は笑いに包まれた。

映画公開初日を迎え、齋藤は「僕自身初めてこんなに大きい作品に出させていただきました。今日から(世に)放たれるというところで気持ちが追いついていない部分がありますが、この作品に関わる方々すべてに感謝したいです」と述懐。綾野は「とにかくうれしい」と明かし、「この作品はたおやかでとても優しいです。実寸大の齋藤くんの姿を焼き付けようとみんなが目指して作ったものでもあるので、そういったところを汲み取っていただけたらうれしいです」と話した。

また共演する中で、どのように狂児と聡実のような関係性を築いていったか聞かれると、齋藤はえへへと笑いながら困った表情を浮かべる。それを見た綾野が「かわいいっす(笑)」とこぼしつつ、「作品上、ヤクザと中学生が噛み合うはずがないんです(笑)。なので演じるうえで、2人が噛み合わないことが必要になってくる。そういったオーダーのもと演じ続けるのは非常に不安だったと思いますが、最後まで目を背けずにいてくれてうれしく思います」と振り返った。

今回初共演となった齋藤の印象について聞かれた芳根。齋藤とは完成披露舞台挨拶以来だと話し、「本当に背が伸びているし声も低くなって。成長を感じますね(笑)」と言及する。また坂井も大きな映画への出演が初めてだという齋藤に対し、「それを感じさせないほどしっかりとされていました。お芝居が納得いかないと思ったら自分で(もう一度と)言えていたので、素晴らしいなと」と褒め称えていた。

カラオケシーンで印象に残っている部分を聞かれた綾野は「『紅』は情念をこめて歌っておりましたので、いきなり冒頭から叫んで驚かせてすいませんでした(笑)」と笑顔で回答。チャンス大城はもとよりX JAPANのファンであることを明かし、「まだ『紅』が英語バージョンだったときや、そのとき自分は高校生だったことを思い出して……。あの頃をいろいろ思い出させてくれた名作ですね」と感慨深そうに語った。またカラオケシーンはヤクザが一同に介するシーンでもある。撮影時は怖くはなかったかと聞かれた齋藤は「正直怖かったです」と言いながらも「30人くらいのヤクザのみなさんたちがタバコを吸っていらして。怖かったですけど、これが本当に(ヤクザがいる部屋に)入ったときの感覚なんだと掴めもして。あとはもう、飛び込むだけでした」と話した。

その後映画の公開を記念して、登壇者たちはカラオケマイク型のクラッカーを「紅だあああ」という掛け声とともに発射。最後に綾野、齋藤、山下監督から挨拶が贈られる。「和山先生の原作を預けていただいて、本当にマンガ原作の(映画化の)難しさを感じていました。しかし野木(亜紀子)さんが書かれた脚本が本当に素晴らしく、原作と映画の融合がそこにはありました」と綾野。齋藤は「この作品でお芝居だけでなくいろんなことを受け取ることができて、作品ってみんなで作っていくものだと自分の体で感じることができました」と振り返る。山下監督は演者、観客に感謝を述べつつ、「小さいものを丁寧に描いた映画なんですけれども、聡実くんの『紅』を何度も聞いていく中で、こういう映画が大きなスクリーンで見るべき映画なのではと思いました。また観ていただいたらうれしいです」と結び、舞台挨拶は閉幕した。